匠の技について
Understanding 三枚合わせ・ステンレスクラッド
三枚合わせは両刃包丁に多く見られる構造で、硬い芯鋼の両側に柔らかい地金を鍛接したものです。硬くてもろい芯鋼が熱処理後に鋭い刃先を形成し、柔らかい地金がそれを支えることで、ブレード全体の強度を高めます。
強度面だけでなく、炭素鋼の包丁も三枚合わせ構造の恩恵を大きく受けます。両側をステンレス素材で覆うことで、錆や変色が起きやすい日立青紙や白紙を使用した炭素鋼包丁でも、表面の大部分が地金に保護されます。炭素鋼の芯材が露出するのは刃先の極一部のみとなるため、メンテナンスの手間を大幅に軽減できます。
この鍛接によるクラッド構造により、三枚合わせや二枚合わせの包丁には、刃先付近に2つの素材が交わる明確な境目(クラッドライン)が現れます。これはモノスチール構造にはない美しさをブレードに加え、特にステンレスクラッドの場合は炭素鋼やセミステンレス鋼の芯材が露出している位置を示すため、お手入れが必要な範囲の目安にもなります。
地金は芯材とは別に製造された後、鍛接されます。これにより、ダマスカスなど異なる素材でクラッドすることが可能になり、切れ味に影響を与えることなく、包丁に様々な美的特徴を加えることができます。
芯材と地金の硬度差により、特定の仕上げを施すとそれぞれ異なる表情を見せます。三枚合わせの包丁の刃面に霞研ぎを施すと、硬い芯材は光沢のある磨き上げられた状態になり、柔らかい地金は夢のようにぼんやりとしたサテン仕上げになります。2つの仕上げの間の曲線状の境界線は、霧が立ち込める湖面のような美しい刃面を生み出します。霞研ぎを施さない場合でも、通常はっきりと見えるクラッドラインが、三枚合わせ構造の包丁に視覚的な面白さを加えます。
